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「私は私からお前たちを作る。黒い髪黒い瞳のお前、美しい我が戦士。自分が何者かは解っているかい」
「戦神ディオグストの戦士【ディオール】」
 主――戦いを司る神ディオグストは頷いた。
「そう、お前は我が戦士の一人。神々の末端。だが我が創造主から作られたわけではないから未熟だ。私のようにね。だから私は、お前たちに人の世に降りることを義務づけている。すべきことが分かっているね?」
 そしてディオグストは人間界へ続く門を開いて、進み行こうとするディオールに祝福を与えた。
「我が戦士。我が子。父は、お前が戻ってくる日を楽しみにしているよ」



 戦神ディオグストは【ディオール】という戦士たちを持つ。【ディオール】はディオグスト神のゆりかごで生まれ育つのだと言う。彼らは百年に一度作られ、人間界に降り立つ。未熟な自分たちの精神や技術を成長させる為に。その戦士が降り立ち、力を振るうことを、人は戦神の祝福と呼ぶのだった。
 その祝福がこのコールセンにあったら。リゼロットはそんな詮無いことを考えている自分に気付き、その思考を素早く振り払った。
「打てぇっ!」

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「あなたの力が必要なんだ。私はあなたの力が欲しい」

「危険な人物だと思われます。姫君に、コールセンに仇成す者ではありませんか」

「姫君のことは好きですよ」

「お前の力は、いつか姫君を傷付けるかもしれないぞ」

「まだあいつは死なないのか」

「我が剣、そして誓いを、今この時の主に捧げることを。いつか去り行く時まで」



「共にいたい、それだけではきっとだめなんだ」

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 あの人の為に生きよう。何も与えられないと泣いたあの人に、もう涙を流させない為に。
 永遠に等しい神々の末端でも、誰かの為に生き、大切な物を与えることは出来るはず。
 いつか来る別れの時まで、側にいよう。
 この剣は我が姫君に。
 この誓いは我が愛する人に。

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「……お前が生まれくる次の世界に、祝福が多く降り注ぎますように……」





 だから、生まれておいで。