St.アンダーグランド 予告編
犯罪者の巣窟、どこにも行けない、存在しない人々が巣食う、幻の階層が、エデンのどこかにある。
そんな都市伝説が脳裏を駆け巡る。
「ようこそ。我らが地下世界、アンダーグラウンドへ!」
紗夜子のまなじりから、溜まっていた涙が意図せずに滑り落ちる。
「お前の命なんて、どうこうする価値もない。それが平等だってことだ。
楽になれるぞ。逃げなくていい、追われて殺される心配もない。だから、殺してやるよ」
例え、この手が血にまみれていても。
望んでしまう自分は、罪深い。
「トオヤ。私に――戦い方を教えて」
「あなたの力は銃弾にある。
願いなさい。思いなさい。
あなたの意志ひとつで、その銃はあなたの願いを叶えてくれる」
『めざめなさい、子どもたち』
「俺らは戦うしかない。戦って手に入れることしかできんようになってしもたんや。
高度文明に生きとって戦争でしか変化でけへんとか、ちゃんちゃらおかしいわ」
「だったら君が、主張し続けてくれればいい。私たちを信じてくれればいいんだよ。
そしていつか、そのために何かしてくれればいい」
『Untitled――Unknown――Uncertainty――』
標本のように 死の影は濃く
漕ぎ出した海に沈み 闇に凝る
その名は知らない 墓標に刻まれないから
このまま消え去れば 美しさだけが残る
2011年 秋 公開予定