眩しいものを見たとき、あの銀の瞳を思い出した。それはどんな光よりも眩かったと、思っただけで目に染みいって、きつく目を閉じる。忘れられず、あの嫌そうな目つきや神様が描き損なって美貌が苦々しく歪む様を何度も脳裏に繰り返してはその言動に腹を立て、ついには風の音に声を聞いたように思った。
『まだ見つけられないのか、馬鹿めが』
 風は空へ駆け上がり、手をかざせば天空の光環は影の指に嵌まる。晴れ渡る空に果てしない世界。聞こえる声の主はここには決していないのに最後にはいつもそうやって罵るものだから、彼女は顔を覆わねばならないのだ。
 旅とはなんと遠く永い。





BACK

INDEX